SD-PPP完全ガイド|PhotoshopとComfyUIをリアルタイムで接続するプラグインの使い方

こんな面倒、感じたことありませんか?

ComfyUIでimg2imgを使いたいとき、こんな手順を踏んでいませんか?

  1. Photoshopでレイヤーをフラット化して書き出す(「別名で保存」→ PNG形式で指定フォルダへ)
  2. エクスプローラーでそのファイルを探す
  3. ComfyUIの「Load Image」ノードへドラッグ&ドロップ
  4. 生成が終わったら出力画像をまたPhotoshopに持っていく

修正のたびにこれを繰り返す……非常に手間です。この往復をまるごとなくしてくれるのが、今回紹介する SD-PPP です。


SD-PPPとは?

SD-PPPは、開発者 zombieyang 氏によるオープンソースプロジェクトで、Adobe PhotoshopとComfyUI(またはStable Diffusion WebUI / Forge)をリアルタイムに接続するシステムです。

名前の「PPP」は Professional Photoshop transPorter の略とされており、AIツールとPhotoshopのあいだを「パイプライン」でつなぐことがコンセプトです。GitHubで2,000以上のスターを獲得しており、世界中のAIアーティストから支持されています。

内部的にはSocket.IOによるリアルタイム通信が使われており、PhotoshopとComfyUIのあいだで画像が即座に行き来します。

SD-PPPでできること(主な特徴)

  • 双方向リアルタイム転送:Photoshop → ComfyUI、ComfyUI → Photoshopの両方向に画像が流れる
  • レイヤー単位の送受信:特定のレイヤーだけを選んで送れる
  • ライブペインティング:Photoshopで描くたびにComfyUIが自動で再生成する
  • Photoshop内でパラメーター調整:プロンプトやステップ数をPS側から変更できる
  • 生成結果は新規レイヤーで返ってくる:元のレイヤーを上書きしないので非破壊編集と相性が良い

セットアップ手順

動作要件

  • Adobe Photoshop 24.4.0以上(選択範囲機能を使う場合はPS 25.0以上が必須)
  • v2.0 Betaはプレミアム Photoshop 2025(PS 26.0以上)専用
  • ComfyUI(ローカルで起動できる環境)

① ComfyUIにカスタムノードをインストールする

方法A:ComfyUI Manager(推奨)

ComfyUI Managerが入っている場合は、Manager → Custom Nodes Manager で「sd-ppp」と検索してインストールします。完了後にComfyUIを再起動し、ブラウザもリロードします。

方法B:Gitで手動インストール

ComfyUIの custom_nodes フォルダで以下を実行します。

git clone https://github.com/zombieyang/sd-ppp.git

完了後、ComfyUIを再起動します。

② Photoshopにプラグインをインストールする

Photoshop側のプラグインは .ccxファイル 形式で配布されています。

  1. ComfyUI上にSD-PPPノードを配置すると、ノード上に「Photoshopプラグイン(.ccx)をダウンロード」ボタンが表示されます。クリックしてダウンロードします。
  2. ダウンロードした.ccxファイルをダブルクリックします。Photoshopが自動認識してインストールが完了します。
  3. Photoshopを再起動し、メニューバーの「プラグイン」に「SDPPP」が追加されていれば成功です。

※ プラグインが表示されない場合は、AdobeのUXP Developer Toolを使って手動でロードする方法もあります。詳しくはGitHubのREADMEを参照してください。

③ Photoshopから接続する

  1. ComfyUIを起動しておきます(デフォルト:http://127.0.0.1:8188
  2. Photoshopでメニューバー → プラグイン → SDPPP でパネルを開きます
  3. パネルにComfyUIのアドレスを入力して「Connect」をクリックします
  4. ステータスインジケーターが緑色になれば接続完了です

接続できない場合は、ComfyUIが起動しているか・URLが正しいか(https:// ではなく http://)・ファイアウォールがポート8188をブロックしていないかを確認してください。


基本のワークフロー:PhotoshopからComfyUIへ画像を送る

SD-PPPの主要ノード一覧

SD-PPPには以下のカスタムノードが用意されています。

ノード名役割
GetImageFromPSPhotoshopの指定レイヤーから画像を取得する。rgb_out をVAE Encodeにつなぐ
SendImageToPhotoshopComfyUIで生成した画像をPhotoshopに送り返す。指定レイヤーに新しい画像として配置される
GetDocumentPhotoshopのドキュメント(.psd)を選択・操作する
GetSelectionPhotoshopの選択範囲をマスクとして取得する(PS 25.0以上が必要)
GetLayerByIDレイヤーIDで特定のレイヤーを取得する
GetLayersInGroupグループ内のすべてのレイヤーを取得する
GetTextFromLayerテキストレイヤーの文字列を取得する
ParseLayerInfoレイヤーの名前・サイズ等のメタ情報を取得する

最小構成のimg2imgワークフロー例

ComfyUI側でこのようにノードをつなぎます。

GetImageFromPS (rgb_out)
  └─ VAE Encode
       └─ KSampler(プロンプト・モデル等を設定)
            └─ VAE Decode
                 └─ SendImageToPhotoshop

Photoshop側の操作はとてもシンプルです。

  1. 処理したいレイヤーをレイヤーパネルで選択する
  2. SD-PPPプラグインパネルでワークフローを選択する
  3. 「Generate」ボタンを押す
  4. 生成が完了すると、結果が新しいレイヤーとしてPhotoshopに配置される

便利な機能を深掘り

① ライブペインティング(Auto Generate)

プラグインパネルの「Auto Generate」チェックボックスをオンにすると、Photoshopでブラシを動かしたりレイヤーを変更したりするたびに、ComfyUIのワークフローが自動実行されます。生成結果がリアルタイムでPhotoshopに返ってくるため、スケッチを修正しながら仕上がりを確認できます。

活用例:Photoshopで粗くラフを描きながら、ControlNetと組み合わせてAIがリアルタイムで清書。どう修正すれば良い結果になるかを即座に確認できます。

※ ストロークのたびに生成が走るためPCへの負荷が高くなります。ステップ数を10〜15程度に下げる・解像度を下げるなどで調整してください。

② Photoshop内でパラメーターを操作する

SD-PPPはComfyUIのノードをまとめて、Stable Diffusion WebUIに近いシンプルなUIとしてPhotoshopのパネル内に表示できます。ComfyUIのノードグラフを開かなくても、以下のパラメーターをPhotoshopから直接変更できます。

  • プロンプト(ポジティブ・ネガティブ)
  • サンプリングステップ数
  • CFGスケール
  • ノイズ除去強度(img2img強度)
  • シード値
  • モデル(Checkpoint)の切り替え

③ レイヤー単位・選択範囲でのインペイント

GetImageFromPS ノードのパラメーターを理解しておくと活用の幅が広がります。

パラメーター説明
layer_or_group送信元のPhotoshopレイヤーを指定する
document対象のPhotoshopドキュメントを指定する
bound「selection」にすると現在の選択範囲をトリミング境界として使う
rgb_outアルファなしの画像。VAE Encodeにつなぐ
alpha_outアルファチャンネルのみ。インペイントマスクや合成処理に使える

活用例(インペイント):Photoshopの選択ツールで修正したいエリアを選択 → GetSelection ノードでその選択範囲をマスクとしてComfyUIに送る。選択エリアだけをAIで修正・再描画するインペイントが、Photoshopの操作感のまま実現します。

活用例(レイヤー分離):人物レイヤーと背景レイヤーを分けておき、背景レイヤーだけを取得して再生成。人物には手を加えずに背景のみを差し替えできます。

④ テキストレイヤーをプロンプトに使う

GetTextFromLayer ノードを使うと、Photoshopのテキストレイヤーに書かれた文字列をそのままプロンプトとして取得できます。「プロンプトをPhotoshop側で管理する」という使い方が可能になります。

⑤ クラウドAPIとの連携(RunningHUB / Replicate)

最新バージョンのSD-PPPはローカルのComfyUIに縛られない使い方にも対応しています。RunningHUB(runninghub.ai)やReplicate(replicate.com)経由で、Midjourney・Flux Kontext Pro/Max・Nano-bananaといったクラウドAPIをPhotoshopのパネルから直接呼び出せます。ローカルGPUがなくてもSD-PPPの恩恵を受けられます。


活用シーン

コンセプトアート・背景制作

Photoshopで大まかな構図をざっくり描き、AI生成で細部を肉付けする。生成した背景を新しいレイヤーで受け取り、そこからブラシで加筆・修正を続ける。ファイルの往復なしに一つのウィンドウ内で完結します。

人物のポーズ・衣装検討

ポーズラフをPhotoshopで描き、ControlNetのOpenPoseと組み合わせて服装や雰囲気のバリエーションを量産。気に入ったカットを即座に同じPSDに重ねて比較できます。

写真のインペイント・リタッチ

写真の不要な部分をPhotoshopの選択ツールで囲い、GetSelectionでマスクを渡してインペイントする。Photoshop内のフィルター感覚でAIリタッチが使えます。

テクスチャ・パターンのバリエーション生成

ベースのテクスチャレイヤーを用意し、SD-PPPで変換しながら大量のバリエーションを生成。複数の候補を同一PSD内に並べて選べます。

アニメ・イラストのカラーラフ

線画レイヤーをControlNet(Lineart等)に通しながら、色ラフレイヤーをimg2imgで参照させる。線画の構造を保ちつつカラーパターンを量産できます。


バージョン情報

2025年2月リリースの v2.0(最新)はPhotoshop 2025(PS 26.0以上)専用のBeta版として提供されており、カスタムノードが不要になった新UI・キーボードショートカットでの画像選択など大幅に改善されています。

v1.x系(最終安定版:v1.9.21)はPhotoshop 24.4.0以上で動作し、引き続き広く使われています。


トラブルシューティング

接続できない(ステータスが赤のまま)

  • ComfyUIが起動しているか確認する
  • URLに https:// ではなく http:// を使っているか確認する
  • ファイアウォールがポート8188をブロックしていないか確認する
  • プラグインパネルから「Reconnect」を試す

Photoshopプラグインのインストールに失敗する

  • Photoshopのバージョンが24.4.0以上か確認する
  • .ccxファイルを右クリック → 管理者として実行を試す
  • UXP Developer Toolを使った手動インストールを試す

画像が正しく取得・送信されない

  • ノードで正しいレイヤーが選択されているか確認する
  • Photoshop上でレイヤーの可視性がオンになっているか確認する

GetSelectionが使えない

Photoshop 25.0以上が必要な機能です。それ以前のバージョンでは動作しません。


まとめ

SD-PPPを導入することで、PhotoshopとComfyUIのあいだにあった「ファイルの往復」という手間がなくなります。

  • 修正のたびにファイルを書き出す必要がなくなる
  • 生成結果が新規レイヤーで返るので非破壊編集と相性が良い
  • Photoshopを離れずにプロンプトやパラメーターを変更できる
  • ライブペインティングで「描きながらAIの反応を確認」するフローが実現する
  • GPL-3.0ライセンスのオープンソースで無料

ComfyUIを使いこなしているPhotoshopユーザーにとって、入れない理由がないツールです。セットアップは数分で完了します。ぜひ試してみてください。